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ゲーミフィケーションとは何か
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- Satoshi Oikawa
- https://x.com/oikwsat
ゲーミフィケーションとは何かを理解するために 2012 年に出版された下記本を読む。本書は「ゲーミフィケーションとは何か」「ゲーミフィケーションを考える」の二部構成からなっていて,ゲーミフィケーションをゼロから学ぶにはとても分かりやすいと思う。
ゲーミフィケーションを一言で言えばゲームを社会のさまざまな場所に持ち込むこと。ゲームそのものを作るのではなく,ゲームの中で特徴的に培われてきたノウハウを現実の社会活動に応用する行為のことだ。
ゲーミフィケーション自体がトレンドになったのは,ガートナーの 2011 年のハイプ・ラインに登場したことがきっかけとのことで,2014 年のハイプ・ラインまで掲載されているので参考までに転載しておく。
- 2011 年:主流の採用まで 5–10 年:過度な期待のピーク期
- 2012 年:主流の採用まで 5–10 年:過度な期待のピーク期
- 2013 年:主流の採用まで 5–10 年:過度な期待のピーク期
- 2014 年:主流の採用まで 5–10 年:幻滅期
- 2015 年:記載なし
出典:ガートナー 先進テクノロジー ハイプ・ライン 2011 年
出典:ガートナー 先進テクノロジー ハイプ・ライン 2014 年
ゲーム自体はもっと昔からあったものだが,2011 年にトレンドが来た大きな要因はソーシャルネットワークの普及によるものが大きい。ソーシャルゲームがこぞってソーシャルのアクティブ率を高めるために,ゲームフィケーションを採用し,その後でゲーミフィケーションに特化した foursquare などが台頭し始める。
ゲーミフィケーションというキーワードとしては一段落した感があるが,ゲーミフィケーション自体は今後も広がり続けていくだろう。ただし使い方を間違えるとディストピアが創り出される可能性も十分にある。ディストピアを理解するためには,Netflix のドラマ「ブラックミラー :ランク社会(原題 Nosedive)」が参考になる。
ゲーミフィケーションを実践していくプロセス自体を,ゲームとして機能させられれば言うことはない。「アジャイル」や,そのアジャイルの手法の一部としての「スクラム」といったものは,その作業プロセス自体をゲーミフィケーションだと述べる人もいる。このように開発するプロセスそのものをゲームとして楽しめるようになれば,サービスは高速に洗練されていくはずだ。
プロジェクト・チーム・会議といった実践で活用するために,ゲームストーミング・アジャイルレトロスペクティブも合わせて読みたい。